アロワナ飼育の基本 about-breeding

アジアアロワナ(特に過背金龍や紅龍)の飼育は、その美しい姿や神秘的な存在感から人気が高いですが、健康に育てるためには多くの注意点が必要です。
ここでは、アジアアロワナ飼育の基本を網羅的に説明します。

1.水槽のサイズ

最低サイズ

過背金龍

アジアアロワナは成長すると最大で60cm~70cm程度になるため、できれば180cm×60cm×60cm(500リットル以上)の大きな水槽が理想的です。アロワナが自由に泳げる十分なスペースを確保することが重要です。

水槽の蓋

アロワナは跳躍力が強く、水面からジャンプして逃げ出すことがあるので、しっかりとした蓋が必要です。

  • Question:水槽サイズが大きくなると、魚の成長も速くなるのはどうして?

    ストレスが軽減できるから

    狭い水槽では魚が自由に泳ぐスペースが限られ、ストレスを感じやすくなります。魚にとってストレスは成長に悪影響を与える重要な要因です。大きな水槽では泳ぐスペースが広がり、魚が自然な行動を取れるため、ストレスが減少します。その結果、成長ホルモンが適切に分泌され、成長が促進されます。

    水質が安定するから

    大きな水槽は水の量が多いため、アンモニアや硝酸塩などの有害物質の濃度が上がりにくく、水質が安定しやすいです。水質が良好であれば、魚の健康が維持され、成長も順調に進みます。逆に、狭い水槽では水質が悪化しやすく、それが成長を阻害する原因になります。

    酸素供給が向上するから

    大きな水槽は酸素供給量も増えやすく、水中の酸素レベルが安定するため、魚の代謝が活発になります。酸素供給が十分であれば、魚の体内でのエネルギー代謝も促進され、成長が速くなります。

    運動量が増加するから

    大きな水槽では魚が広範囲を泳ぐことができるため、運動量が増えます。運動は魚の筋肉や骨の発達に重要な役割を果たし、結果的に体の成長を促進します。逆に、狭い水槽では運動不足により、成長が遅くなることがあります。

    縄張りが確保できるから

    特にアロワナやスネークヘッドのような縄張り意識が強い魚は、大きなスペースがあると他の魚とのトラブルが減り、縄張りをしっかりと確保できます。争いごとが少なくなることで、ストレスが減少し、成長に集中できる環境が整います。

    餌を十分に食べられるから

    水槽が狭いと、複数の魚が餌を取り合う場面が頻繁に起こり、餌を十分に食べられない魚が出てくることがあります。大きな水槽では餌取り競争が緩和され、各魚が十分に栄養を摂取できるため、成長が促進されます。

2.水質管理

水温

アジアアロワナは熱帯魚なので、水温は26~30℃に保つことが推奨されます。水温が低いと代謝が落ち、病気の原因になることがあります。

pH値

アロワナは比較的広範囲のpHに適応できますが、pH6.5~7.5が理想的です。酸性に偏りすぎると体調を崩す可能性があります。

アンモニア・亜硝酸塩の除去

アロワナはデリケートな魚で、水中のアンモニアや亜硝酸塩に非常に敏感です。これらが蓄積すると中毒を起こし、鰓が損傷するなど、命に関わる問題を引き起こします。強力なろ過システムを使用し、定期的に水換えを行って水質を維持します。

フィルター

外部フィルターや上部フィルターなど、高性能なろ過装置が必要です。ろ材にはセラミックリングやバクテリアが繁殖しやすいスポンジなどを使用して、バクテリアのコロニーを安定させます。

3.餌

アロワナの餌

栄養バランスを保つため、餌の種類をローテーションし、偏った食事を避けるようにしましょう。ビタミン剤を使用するのも効果的です。

生餌

小魚、エビ、コオロギなどの生餌は、アロワナの栄養補給に適していますが、寄生虫や病気を持っている可能性もあるため、適切な消毒や処理が必要です。

人工餌

アロワナ専用の高品質な人工餌(ペレット)を使用するのも推奨されます。人工餌は栄養バランスが良く、寄生虫リスクも少ないです。

アンモニア・亜硝酸塩の除去

アロワナはデリケートな魚で、水中のアンモニアや亜硝酸塩に非常に敏感です。これらが蓄積すると中毒を起こし、鰓が損傷するなど、命に関わる問題を引き起こします。強力なろ過システムを使用し、定期的に水換えを行って水質を維持します。

4.混泳

単独飼育がベスト

アジアアロワナは縄張り意識が強いため、混泳にはリスクがあります。他の魚と混泳させる場合、同じくらいのサイズで、アロワナの注意を引かないような大人しい魚(ナマズや大型プレコなど)を選びますが、単独飼育が最も安全です。

ブルーパロット

混泳するなら丈夫で大食漢、そしてアロワナを傷つけないパロットファイヤーがお勧めです。

5.水換えとメンテナンス

定期的な水換え

水質の維持には、週に1回、全体の30~50%の水換えが理想的です。水換えを行う際には、必ず水温やpHをチェックして、新しい水が既存の水と合うように調整しましょう。

水槽内の掃除

水槽のガラス面やろ過フィルターのメンテナンスも定期的に行い、バクテリアが適切に機能する環境を整えます。

6.ライト

明るさとサイクル

アジアアロワナの体色を美しく維持するため、適切な照明が必要です。8~12時間の照明サイクルを守り、昼夜のリズムを作ります。

紫外線ライト

紫外線ライトやLEDライトがアロワナの発色に効果的だとされていますが、過度の照射は逆にストレスを与えることがあるので、適度な時間に調整します。

7.病気の予防

アロワナは様々な病気にかかることがあります。一般的な病気には、白点病、鰓病、松かさ病、尾腐れ病などです。水質管理を徹底することで、多くの病気を予防できます。アロワナの行動が普段と異なったり、色がくすんだり、餌を食べない場合は、病気の兆候である可能性があります。すぐに水質を確認し、必要に応じて治療を開始します。

8.環境のカスタマイズ

流木や隠れ家

アロワナは自然界で大きな空間を泳ぐため、水槽内に流木や岩を配置して、自然の環境に近いレイアウトを作ることが推奨されます。ただし、アロワナがぶつかって怪我をしないように角のないものを選びましょう。

水草

水草を使うことは水質維持に役立ちますが、アロワナは時折水草を破壊することがあるため、丈夫な種類を選ぶか、人工水草を使用するのも一つの方法です。

9.ジャンプによる事故防止

アロワナは驚いたりストレスを感じると、水槽の蓋にぶつかってジャンプすることがあります。これを防ぐため、蓋をしっかりと固定するほか、水槽の周りを静かな環境にすることが大切です。

10.飼育環境の静けさ

アロワナは敏感な魚で、外部の騒音や振動にも影響を受けやすいです。水槽はできるだけ静かな場所に設置し、アロワナがリラックスできる環境を作ることが重要です。

11.寿命

流木や隠れ家

アジアアロワナは非常に長寿の魚で、20年以上生きることもあります。そのため、長期的なケアが必要であり、定期的な水質管理と栄養バランスを考えた餌の供給が欠かせません。長く付き合い続ける覚悟をもって飼育を始めましょう。